高槻神社登場人物の概略
◆(高槻)静音【しずね】の時代 ◇「静かなる紅」 静紅【しずく】: 一族の敵を討つ為、一本の刀を手に諸国を旅する娘。 紅を注していないのに紅く熟れた唇、ぬばたまの髪、旅暮らしにも損なわれぬ象牙の肌、どこか中性的な男装の涼しげな麗姿。 古の荒ぶれる神を身の内に封じていた一族の末裔。神の力を得るため封印を解こうとした大妖に一族を殺された。家族に庇われ唯独り生き残った娘は、代々伝わる魂喰みの刀〈神羅〉の鞘となり、敵を討ち神を狩る為に旅立った。 天牙【てんが】: 静紅を気に入り勝手に旅について来た人外の青年。 その正体は天帝の次男。竜神。 ◆高槻若菜、高槻若葉、高山北斗、神薙深涼の時代 ◇「静かなる夜」、「月輝夜の佳人」 静夜【しずや】: 人の女と竜との間に生まれた青年。静音の兄。 藍の着流し、左腕に直接巻きつけた金鎖の封具、そのさらに下に刻まれた封じの紋、項の辺りで纏めた背の半ばまで覆うぬばたまの髪、黒に映える緋色の飾り紐、母親に瓜二つの麗姿に唯一父親に似た金の竜眼。 生まれた時より右腕に魂喰みの刀〈神羅〉を宿す。竜の姿になれぬ代わりに母親から継いだ剣技を持ち、大妖さえ返り血一つ浴びずに切り捨てられる腕を持つ。 名の表す如く静かで凪いだ青年。滅多に心を荒ぶらせる事は無く、それ故に怒気を纏った姿は修羅の如く畏ろしい。 人でしかない体に流れる濃すぎる竜の血は顕現すれば身体を蝕んでしまう為、常に封じを施し眠らせている。父親と自身の竜の血が共鳴して目覚めてしまう為に、触れ合うことはおろか一定以上の距離に近づく事さえできない。また、大きな妖気などでも触発されてしまう為、妖封じの陣で囲まれた山奥の小さな屋敷に独りで暮らしている。因みにその屋敷は、彼の人となりに惚れた天狗から譲り受けた迷い家。 右腕に宿る〈神羅〉の霊力と、眠らせているとはいえ身に宿す竜血の力によって生粋の竜に劣らぬ寿命を持ち、その姿は最盛期で止まっている。 妻の若葉とは、彼女が登山の途中で迷い込み、雨に降られ足を挫いて泣いていた所を助けて保護したのが馴初め。 ◇「添魂の玉響」 若葉【わかば】: 若菜の歳の離れた弟。神社の始祖とも伝わる竜神を祭る高槻神社の若き神主。 外見は、明け色の短髪、やや釣り目がち。眼鏡をかけた小作りな顔で実は童顔。しかし、性格から怜悧で皮肉気な雰囲気が滲んでおり大人びて見える。逆に全開の笑顔や寝顔は酷く幼い。眼鏡は「見え過ぎるから掛けている」素通し。背は175〜180p。 「どうせ侍らすなら美女のがいい」と式神は女形ばかりで召喚する神も女神ばかりという徹底振り。身内に妬かない恋人なら欲しいらしい。 静夜に懐いていて、人目の多いところでは「静夜さん」と呼ぶが、身内ばかりだったりすると「静夜兄ちゃん」と呼ぶ。小さな頃からの癖でよく抱きついている。自他共に認めるお兄ちゃんっ子で、頭を撫でられると猫のように目を細める。 半ば駆け落ちのように結婚した娘が疾うに許しているにも拘らずいつまでも実家に顔を出さないのを心配した両親に、若菜の様子を見るために年に数度派遣されている。 実は、幼い頃から静夜の姉代わりとしてずっと傍に居た竜姫の転生体。 神薙深涼【かんなぎ みすず】: 遥昔に交わった鬼の血の先祖返り。 若葉に惚れ、押して押して押し倒した女傑。 三人の娘を産み落として後、鬼の血の衝動に人間の心を蝕まれ、最後に繋ぎ止めた理性にて若葉に止めてくれと願い、若葉の手のよって封じられた。 高槻神社の裏山にて竜身をとった若葉と共に眠り続けている。 ◆高槻三姉妹の時代 ◇「熊さんと許婚」、他 胡蝶【こちょう】: 三姉妹の長女。 何時如何なる時もおっとりした美女。普段は穏やかで優しいが怒らせると恐いらしい。許婚の伊吹とは相思相愛。 母親の血を色濃く引く鬼女。 高山伊吹【たかやま いぶき】: 若葉の親友である北斗の息子。 許婚の胡蝶より7歳年上で心底惚れ抜いている。 強持て且つ不器用な性格でよく損をしている。 ◇「夏の幻」、他 菊花【きくか】: 三姉妹の次女。 何時如何なる時も勝気で強気な元気娘。言葉よりも手足が先に出る。異世界から伴侶を連れ帰った。高槻神社の次期跡取り。 シンの血を色濃く引く4人目の鍵。伴侶はシンと双子兄弟のカルマ。 ◇「天の願い、地の約束」 桔梗【ききょう】: 三姉妹の末っ子。 何時如何なる時も冷静沈着な少女。淡々とした口調で刃より相手を抉る言葉を吐く毒舌家。 初代の竜の血を色濃く引く先祖返り。人間の姿は黒髪黒瞳。竜人の姿は黒髪と縦に瞳孔の細い金瞳、身体の各部に淡い燐光を放つ鱗が現れる。天竜。 麻見杉葉【あさみ すぎは】: 人畜無害で懐っこい大型犬タイプ。約一名にとって偶に有害。狼ですから(笑)。 人間の姿は色素の薄い茶髪と明るい瞳。人狼の姿は狼耳と尻尾、腕や足が狼の毛に包まれ、四肢に白金の炎を纏った黒狼。地狼。 ◆高槻暁の時代 ◇「夜明けの歌」、他 暁【あかつき】: 菊花とカルマの息子。黒髪黒瞳、偶に金瞳。シヴァよりも力は遥かに落ちるが存在としては似たようなもの。 根がイイ奴なばかりに、いつも要らない苦労まで背負い込む羽目になる苦労人。 白虎や鳳凰にからかわれつつ、時々大暴れしながらも平穏に中学生をやっている。 基本、教科書は学校に置きっ放し。 ◇外伝「守獣の誓い」 和泉【いずみ】: 生まれつき高い霊力を持っていたため、いつも人の間で孤立していた。 人間嫌いだが、何だかんだと結局は優しく、裏切った人間すら命懸けで助けたお人好し。 黒銀さえ傍にいれば後は何も要らない。 黒銀【くろがね】: 漆黒の天狼。 和泉を守護する神獣。 ◆高槻神社を護る四神 琥珀【こはく】: 神域に祭られる神獣、白虎。 淡い彩の髪を項で無造作に括った黄玉の双眸の青年。笑うと唇の端から鋭く尖った八重歯がちらりと覗く。 いつも適当に白系の着物を着流している。 実は玄武に次ぐ古株。転生も代替わりもしていない。 天藍【てんらん】: 神域に祭られる神獣、青竜。 光の加減で青みを帯びる黒髪、銀を含んだ青玉の双眸の最も若き姿をした娘。冬の早朝を思わせる凛とした様で、酒宴の席であってもどこか堅苦しさが抜けない。 白い着物と青を基調とした袴を身に着けている。 先代である父親から受け継いだ。 紅鉛【こうえん】: 神域に祭られる神獣、鳳凰。 鴉の濡れ羽色の髪、紅玉よりもなお美しい朱金の双眸の妙齢の美女。桜の透かしの扇で上品に口元を隠して微笑む。 常に十二単を身に着けている。 実は夫持ち。夫婦揃って幾度も炎の中で転生を繰り返している。 黒耀【こくよう】: 神域に祭られる神獣、玄武。 かつては黒々としていた真っ白な髪を結った優しい黒玉の双眸の好々爺。白虎と鳳凰を子供のように、年若い青竜を孫のように思っている。 茶系の羽織と小袖を好んで身に着けている。 直系の曾孫までいる。 |